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2021/12/22

【寄付月間】みったんに聞け! 日本の寄付市場の今とこれからー『寄付白書2021』解説

  


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日本の寄付の全体像を明らかにする調査レポート最新版『寄付白書2021』が日本ファンドレイジング協会より刊行されました。

前回の『寄付白書2017』の刊行から4年、日本の寄付市場はどのように変化したのでしょうか。

フローレンスで寄付を担当し、日本ファンドレイジング協会の准認定ファンドレイザー研修やグロービスの公認クラブ「グロービス・ソーシャルビジネス・クラブ東京」のイベントで講師を務める認定ファンドレイザー”みったん”こと御手洗薫に、フローレンス編集部が『寄付白書2021』についてお話を聞きました。


みったんさん_木の壁

御手洗 薫(認定NPO法人フローレンス 寄付担当 認定ファンドレイザー)

東京生まれ。日本女子大学理学部卒。外資系IT企業にて、エンジニア、マーケティング、営業を経験。この間、二度の育児休職を取得し、待機児童問題、病児保育問題に直面し、同時に多くの育児中の父親、母親が同じ悩みを感じていることを知る。すべての親子が心豊かな人生を送れるよう行動したいと決意し、2017年フローレンスに入社。

Point 1:東日本大震災以降、7000億円で推移してきた個人寄付が約1.5倍の1兆2000億円に!

©日本ファンドレイジング協会

©日本ファンドレイジング協会

ーこの5年間で、個人寄付額が大きく伸びています。要因は何だと考えられますか?

御手洗:要因は2つあると考えられます。一つは、社会問題や社会の一員である感覚が誰にとっても身近になったこと。もう一つは、より寄付しやすい環境が整ってきたことです。

これらの背景には、ふるさと納税やSDG’sの認知が拡大することでソーシャルグッドへの意識が向上したこと、近年毎年のように起きている国内の自然災害被災地支援をきっかけに寄付を経験した人が増えてきていることなどが挙げられます。

また、近年、個人の発信力が高まり多様な意見と出会う機会が増えました自分の価値観を問われる場面も増え、そのアクションのひとつとして寄付が選択肢に入ってきたともいえます。新型コロナ感染症拡大で大きな社会的価値観の変容があったことも、こうした流れを大きく後押ししています。

ーふるさと納税の伸びがとても大きいですね。

御手洗ふるさと納税だけに限定すると、2017年から倍以上に増えています。ふるさと納税は過剰な返礼品が話題にはなりましたが、認知拡大の効果はありました。毎年のように各地で自然災害が起きていることで、他人事ではないという感覚が芽生え、それがふるさと納税という形で支援する行動につながったとも考えられます。熊本地震により被害を受けた熊本城の復旧・復元を目的とした一口城主のようなアイデアで多くの支援金を集めた例もありました。

ー多様性やコロナの影響についても教えて下さい。

御手洗:多様性については、これまで光が当たっていなかった問題が広く可視化されてきたことが挙げられるでしょう。また、新型コロナ感染症拡大によって世の中が激変し、今まで起きたことがないような事、そして今まで見えていなかった事を目にする機会が増え、社会問題をより身近に感じ、共感する機会が増えたと考えられます。

ーこれらの要因に、寄付をしやすい環境が整ってきたことの相乗効果が現れたということですね?

御手洗:これまで寄付といえば、街頭募金のほかは銀行振込や郵便振替などが主流でしたし、団体に関しても情報が少なく、どこに寄付すれば良いかわからない状況でした。

それが、近年は電子マネーやクレジットカードでの決済の普及、さらにはQR・バーコード決済でも寄付できるようになっています。

また、NPOなどの団体側もインターネットやSNSでの情報発信を積極的に行うようになってきており、ネット検索で団体の活動を理解し共感した人が、ITを活用した決済方法で手軽に寄付できる環境が整いました。

ー今、フローレンスがJ-Waveと取り組んでいるクラウドファンディング*も新しい寄付の形ですね。

御手洗:クラウドファンディングとは、特定のプロジェクトなどの実現のために、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達することですね。ここ数年、クラウドファンディングの市場も急激に伸びていますが、その概念自体は、実はとても古いものなんです。江戸時代の大阪では新しい橋を架けるのに、周辺の商人がお金を出し合っていました。神社などの周囲にめぐらされる玉垣に、寄付した人の名前が彫られていますが、これも一種のクラウドファンディングですよね。

さらに、チャリティ商品、クリック募金、ポイント募金など、様々な寄付のチャネルが登場して、私たちの生活と寄付がどんどん身近になってきています

*フローレンスと東京のラジオ局J-WAVE(81.3FM)が共同で、コロナ禍で苦しむ子ども達とその家族に支援を届けるクラウドファンディングを実施しています。(実施期間:2022年2月23日まで)https://camp-fire.jp/projects/view/525187

Point2:コロナ禍で深まった思いやりの気持ち

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ーコロナ禍に、個人寄付額が過去最高になり、若者の寄付も増えました。

御手洗:若者の寄付が増えた理由としては、SNSで情報が拡散し、支援の輪が広がったことが挙げられます。例えばフェスが中止になって主催者や出演者が困っているとか、ひとり親のご家庭が更に困ってしまう状況に立たれているのを見たとかですね。

また、それまで日本では「自己責任」と捉えられる傾向にあった生活困窮者への支援も、コロナ禍でより身近な人が困窮する姿を目にしたり、窮状を知る機会が増えたことで共感が広がり、他人を思いやる気持ちから寄付をした人が増えたのではないかと考えられます。保育園パパ友が飲食業でお店が開けなくなって困っているのを見たといって、フローレンスに給付金の10万円を寄付してくださった方もいました。

「自分より少しだけ大変な人たちのために、今できることがある」~特定給付金を寄付したあるお父さんの話~
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Point3:私たちの力で社会は動かせる時代

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ーあらためて、この10年の寄付市場がどのように変化したのか教えて下さい。

御手洗:先程お伝えしたとおり、クラウドファンディング、クレジットカード決済、電子マネー決済など、私たちが寄付しやすい環境がどんどん整備されています。同時に、SNSでの発信や拡散によって、個々人の力で大きく社会を動かしている人もでてきて、「私たちの力で社会は動かせるんだ、よりよい社会にしていくことができるんだ!」と誰もが思える時代になってきたことも大きいでしょう。

ー自分たちの力と意思で未来を選びとる意識ですね。

御手洗:「どうせ私なんかにできるわけない」ではなく、「もしかしたら私にもできるかも」と思える社会になってきたんですね。「大きな額は寄付できないけど小さな額なら寄付できる。小さな額(=個人)でも社会は変えられる」と思える雰囲気になってきたんじゃないかと思います。

小さな額を手軽に寄付できるツールとして、フローレンスは2017年12月にAmazon Payでの寄付決済を開始しています。実はアマゾンジャパンの社内ボランティアグループの皆さんが「自分たちが持っているリソースで、フローレンスさんのために何かできませんか?」とお声がけくださったのが始まりで、100円から簡単に寄付できるプラットフォームを用意してくださったんです。

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企業の強みを生かしたCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)活動が活発になってきていることも、個人寄付市場の拡大に大きく寄与しているといえます。

ーフローレンスでは、Amazon Payでより簡単に手軽に寄付できる「オトナリ」をリリースしました。

御手洗:こういったツールを利用して、より多くの方に手軽に寄付体験をしてもらえるといいですね。先日、自分の誕生日に社内でバースデイドネーションの呼びかけを行い、リアクションしてくれた人の人数✕100円を寄付しました。実際に寄付したのは私ですが、リアクションという形で寄付に多くの人に貢献してもらえますし、さらに自分もやってみようと思ってくれる人もでてくるかもしれません。

寄付が「清く正しく厳かに」するものではなく、「ちょっと共感したから」「楽しそうだから」ぐらいの感覚でもできるようになってきました

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Point4:寄付は未来社会への投資 ー遺贈寄付の広がり

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ー世界的な遺贈寄付への関心の高まりを受け、2020年から日本でも「遺贈寄付ウィーク」が開催されるようになりました。

御手洗:確かに、「遺贈寄付」市場はここ10年で確実に伸びています。単身者で法定相続人がいない人が増えたこと、財産の使い道を自分自身で決めたいと思う人が増えたことが理由に挙げられます。

また、終活もブームとなり、遺言書を書く人が少しずつ増えています。こうした流れを受けて、2016年に全国レガシーギフト協会が設立され、遺贈寄付を広めていこうとする様々な人の活動が活発化しています。フローレンスにも「遺贈としては少額かもしれないけれど、人生の集大成として寄付したい」と声をかけてくださる方もいて、とても嬉しく思います。実際、遺贈に下限はありません。1万円からでも未来に託すことができます。

ー日本の寄付市場は今後どのようになっていくと考えていますか?

御手洗:今後、寄付市場はますます拡大していくと思いますし、寄付をしたいと思う人が増えていくと予想しています。統計的にも「寄付は未来社会への投資だと思うか」との問いに「そう思う」と答えた人の割合が43.6%と高く、世の中が寄付をポジティブにとらえているのがわかります。

今の日本には、あまりにも多くの社会課題があって、政府や国の制度がすべてを解決することが困難であることがわかってきました。何に使われるかわからない税金を払うよりは、自分が実現したい社会のために活動している団体に寄付をして、かつ税制の優遇措置を受けられるほうが良いと思う人が、今後も増えるのではないでしょうか。

毎年12月は「寄付月間」です。「欲しい未来へ、寄付を贈ろう。」を合言葉に、様々な団体がキャンペーン活動をおこなっています。この機会にひとりでも多くの人に、気軽に寄付体験をしてほしいと思います。

(終)

インタビュアー:澤田澄江(認定NPO法人フローレンスに2021年7月に入社し、准認定ファンドレイザー検定試験を11月に受験。寄付について勉強中)


あなたの一歩が、社会を一歩すすめる原動力に

フローレンスは「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指し、子どもの貧困、子どもの虐待、親子の孤立などの社会課題解決を目指し、病児保育事業、障害児保育・支援事業、赤ちゃん縁組事業(妊娠相談・特別養子縁組あっせん事業)、ひとり親家庭支援、困窮家庭支援などをおこなっている団体です。

フローレンスは親子をとりまく社会課題に対して事業を行うことで小さな解を生み出し、その知見をもとに制度や政策の提言を行ってきました。また、制度の狭間で苦しむ親子の抱える課題を可視化しソーシャルアクションに取り組むことで、社会に大きな変革の波を起こしています。

2021年には、フローレンスが6年にわたって訴えてきた「医療的ケアの必要な子どもたちとその家族への支援拡充」に向けて大きな一歩となる「医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)」が施行されたほか、男性育休義務化・男性産休の創設という改正育休法案が通過し、さらに12月には法的離婚前の「実質ひとり親」が児童扶養手当を受け取れるように制度が見直されることになりました。

このようなフローレンスの小さな解を生み出すための新規事業の立ち上げや、様々な支援活動、政策提言活動、ソーシャルアクションは、すべて寄付者の皆さんのご支援と応援によって実現できています。

あなたの一歩が、社会を一歩すすめる原動力になります。

「すべての親子の笑顔のために」に挑戦し続けるフローレンスの仲間として、応援をよろしくお願いします。




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