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アクション最前線

2022/12/12

「あした食べるものがない」物価高騰で相次ぐ、子育て家庭からのSOS

      


物価高騰の中で迎えた12月。クリスマスに年末年始と、1年の中で最も心躍るはずのこの時期に、不安な気持ちで過ごしている親子は少なくありません。

年末が近づくにつれ、フローレンスにも「子どもに食べさせることができない」「あした食べるものがなくて困っている」「生きていく気力がない」というメールや電話が相次いでいます。追い詰められている親子が今、日本中に増えているということだと私たちは考えています。

値上げされた食品は2万超 子育て家庭を直撃

信用調査会社「帝国データバンク」が12月1日に発表した調査結果によると、今年・2022年に値上げされた食品は累計で20,000品目を超え、来年はすでに4000品目以上の値上げが予定されているといいます。

急激に進んだ円安の影響だけでなく、電気・ガス代や物流費、人件費の上昇なども響いていて、冷凍食品や小麦製品、お菓子などの値上げが目立つということです。まさに子育て家庭の食卓に欠かせない物品です。

※帝国データバンク「食品主要105社」価格改定動向調査(12月)より

※帝国データバンク「食品主要105社」価格改定動向調査(12月)より

また、生命保険大手の「住友生命」が、物価上昇の家計への影響について調べたところ、影響が「ある」「少しある」と答えた人が合わせて87.6%にのぼりました。

※11月9日 住友生命保険相互会社 スミセイ「わが家の台所事情アンケート」より

※11月9日 住友生命保険相互会社 スミセイ「わが家の台所事情アンケート」より

「食費」を節約しているという人が42.6%を占めたほか、子どもの習い事への影響を聞いたところ、「削減した」または「やめた」と答えた人が、合わせて38.1%だったということです。子どもの食だけでなく、教育や経験など子どもの将来に関わる費用にも影響が出始めているのです。

親子の不安に寄り添いたい フローレンスの取り組み

コロナ禍以降フローレンスでは、特に、ひとり親や経済的に厳しい子育て世帯など、社会的に孤立しやすい、支援につながりにくい世帯に対する支援を強化してきました。

他団体と連携しながら広げてきた「こども宅食」は、食品を無料でお届けすることをきっかけに子育て家庭とつながり、必要な支援につなげる“出前型”、アウトリーチ型の取り組みです。連携する全国35都道府県の100団体以上のこども宅食実施団体を通じた食品・物品支援は20,000世帯規模に広がっています。

さらに2021年には、LINEなどのSNSでつながり続け、さまざまな環境にある親子に対面とオンラインの両輪で伴走する相談支援=デジタルソーシャルワークのモデル事業を立ち上げました。

デジタルソーシャルワークは、社会福祉士などの専門資格を持つ相談員が、子育て世帯に対してオンラインで継続的にやりとりを行います。雑談・相談を受けながらゆるやかにつながり、情報提供、行政や他機関・団体と連携して地域の支援につなげます。

2021年8月に神戸市などと連携して「おやこよりそいチャット神戸」を立ち上げ、2022年5月には山形市からの受託事業として「おやこよりそいチャットやまがた」を開始。フローレンス独自に運営する「おやこよりそいチャット(全国)」、それに日々フローレンスに寄せられるSOSをきっかけにつながりができたご家庭なども含めて、全国6000世帯以上に伴走型支援を提供しています。

心がけているのは「相談」のハードルを下げ、つながり続けること。

気軽にいつでも話しかけられる存在になり、一度つながった方には、こちらから声かけを行うなど、長く寄り添う関係を目指しています。
利用者の方々から「まとまらない内容を書いてしまったが、聞いてもらえるだけで幸せ」、「まるで身近な知り合いが、ここに1人できたかのような感覚」「気にかけてくれる人がいると思うとがんばれる」といったメッセージをいただくことがあり、デジタルソーシャルワークの可能性を感じています。

デジタルソーシャルワークで目指す“新しい”社会

デジタルソーシャルワークを通して私たちは、誰もが支援を受けて子育てをすることが当たり前の社会にしたいと考えています。
自ら声をあげなければいけない申請主義・窓口型支援では、支援を受けることに恥ずかしさや抵抗を感じている人、問題が複雑すぎて何をしていいかわからない人、疲れ困り果てて助けを求める気力がない人などには支援が届かないことになります。

常に手を差し伸ばす人、助けてくれる人がいる、孤立しない子育て環境を作りたい。

そのためには困っている人に確実に届く支援サービスを作りたい。

これまでの支援のかたちでは十分カバーしきれない全国の子育て世帯を対象に、出前型のアプローチで、デジタルを活用し、地域を超えた支援を届けていこうと取り組みを続けています。

少しでもあたたかな年末年始を

SOSの電話やメール、デジタルソーシャルワークでつながったご家庭とのやりとり。それらを通して私たちは、この冬が子育て家庭にとって、これまで以上に厳しいものであることを実感しています。

親子が笑顔で年を越せるように、フローレンスは支援活動をさらに広げていきます。

そしてその活動の多くは皆さまからの寄付で支えられています。
デジタルソーシャルワークも、皆さまからのご寄付がなければ続けることはできません。

ぜひ、応援をよろしくお願いします。




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