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インタビュー

2022/12/19

【寄付者インタビュー】「人生の最期に、何によって人に憶えられたいか」を自問して見えた景色とは。

       


フローレンスの活動は、皆さんからのご寄付によって支えられています。

親子をとりまく様々な社会問題の解決に向け、私達と志を共にしてくださる寄付者の皆さん。一人ひとりからのご寄付の裏には、様々なストーリーがあります。

今回は、2016年から継続的にフローレンスの活動をご支援くださっている会社員の白井さんに、神保町のフローレンスオフィスにお越しいただき、寄付チームのスタッフがお話をお伺いしました。


スタッフ:本日は弊会へお越しいただきありがとうございます。さっそくですが、2016年に弊会にご寄付くださった経緯を教えてください。

白井さん:会長の駒崎さんの本を読んだのがきっかけだったと思います。

スタッフ:2016年ですと、フローレンスの立ち上げから、全国に事業を展開していく過程が描かれている『「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方』(注:2011年 ちくま文庫刊)でしょうか。病児保育事業やひとり親家庭の支援に対する駒崎の熱い想いが溢れている一冊かと思います。

白井さん:そうです。その本を読んでフローレンスに興味を持ち、活動を深掘りして調べました。ちょうどその頃、社会貢献をもっとしていきたいなと思う機会があり、フローレンスさんに寄付をしたんです。

スタッフ:2016年当時、フローレンスのどのような活動に共感していただいたのでしょうか。

白井さん:最初に寄付をしたときには、病児保育を通じてひとり親家庭の支援がしたいと思いました。寄付をして気づいたのは、フローレンスが常に高い視点から社会を見ていて、新たな課題を見つけては次の支援を届けているということです。そこが、他の団体とは違うと思いました。

フローレンスの「寄付によるひとり親支援プラン」ではひとり親家庭に低価格で病児保育を提供するほか、不定期に食物品のお届けなどを行っています)

スタッフ:先程、社会貢献をもっとしていきたいなと思う機会があったとおっしゃっていましたが、具体的にはどんなことがあったのですか?

白井さん:寄付が当たり前の家庭で育ったこともあり、20代の頃はちょっとした募金をしたり、捨て猫を拾って育てたりもしていたのですが、基本的には仕事で自分をどう成長させるかを中心に考えて過ごしていました。

ある時、一緒に仕事をした同僚から、「白井さんと一緒に仕事をして、こんな工夫をすると、仕事ってこんなに面白くなるんだと分かって、人生観が変わりました」と言ってもらえたんですね。その瞬間に「自分でも人にプラスの影響を与えられるんだ」という電球がついたんです。そこから、保護猫団体などへの寄付を始めたのですが、もっと社会的に大きなインパクトのある団体に寄付したいと思った矢先に、駒崎さんの著書を読み、ひとり親の貧困家庭の生活がとても大変だと知り、継続した寄付を始めたんです。

スタッフ:人に何かを与えるだけではなく、自分が何かをすることで他の人の人生をプラスに変えたいというビジョンがあって寄付をされているのですね。素晴らしいことだと思います。

白井さん:当時、もうひとつ影響を受けたのが、ピーター・ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』(注:『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』(2000年 ダイヤモンド社刊))です。プロフェッショナルの心得として、自分は何によって人に憶えられたいのか。死んだあとに、どういう形で他の人の記憶に残りたいか。そんなことを考えて人生や仕事の目的を設定するのだ、といったことが書いてありました。誰でも人生の最期には人にプラスの影響を与えられる人物でありたいと思っていて、方法は違っても、目指すところは皆同じなのではないか、というのです。この言葉が、先程のプロジェクトでの出来事とつながって、人にプラスの影響を与えて生きようと思うようになったんです。

スタッフ:白井さんにとって、社会に貢献するということが何か特別なものではなく、ご自身の人生の支流のように流れていて、「人生の最後に自分は人にどんな記憶を残せるのか」というゴールが道標になって活動されているのですね。

白井さん:社会貢献とか、「他の人の人生にプラスの影響を与える」というと、駒崎さんのような方にしかできないように思うかもしれませんが、毎日笑顔で接するだけでも人にエネルギーを与えることができるし、寄付にしても金額的に大きなものでなければだめだとか、やらない理由を考えてしまいがちだと思うんですけれど、100円でも1,000円でも、間違いなく誰かのために役に立つので、まずはやってみることが大事だと思います。

スタッフ:多くの方にとっては、まずはやってみる、というところのハードルが高いように思います。

白井さん:例えば、ふるさと納税については、必ず払わなければならない税金ですよね。だとすれば、使い道がはっきりしていて、自分がこういう使い方をしてくれたらいいなと思うところに税金を使ってもらえるので、寄付をするきかっけとして、フローレンスのふるさと納税はすごくいいなと思います。誰でも、誰かのプラスになれる。ふるさと納税はそのひとつの方法ですね

フローレンスが文京区で食の配送を通じた相談支援をする「こども宅食」を開始したときには、真っ先に応援したいと思いましたし、次に佐賀県のふるさと納税を通じて「こども宅食」を全国に広める活動を開始したときにも寄付をしました。フローレンスは、経済的に厳しい家庭の支援に留まらず、家庭が孤立してしまうという事象に目を向けて、さらにそれがひとり親家庭に限ったことではないことがわかると、様々な困りごとを抱えている子育て家庭の支援につなげていますよね。

スタッフ:文京区や佐賀のふるさと納税でもフローレンスを応援してくださっているのですね。

白井さん:実は、以前からふるさと納税でフローレンスの「こども宅食」以外の活動も支援できたらいいなと思っていました。ですから、渋谷区でフローレンスの活動全体を支援できるふるさと納税が始まったと聞いて、さっそく寄付させてもらいました。

スタッフ:ありがとうございます。おっしゃるとおり、この渋谷区のふるさと納税は、「ふるさと納税の仕組みを使って、渋谷区内を拠点に活動する認定NPO法人を支援する」という新しい取り組みです。手数料を除いた金額が、全国の子どもや子育て世帯をとりまく課題の解決に取り組むフローレンスの活動全般の支援につながるもので、12月31日まで実施しています。(2022年のふるさと納税は終了しました。ご支援ありがとうございました)

スタッフ:今回のふるさと納税では、返礼品を用意しましたが、その点についてはどうお感じになりましたか?

白井さん:返礼品が、ふるさと納税で寄付をするハードルを下げるひとつの方法になっていると思います。これまでのNPO支援のふるさと納税というのは、返礼品がないか、あってもシールのようなものだったと思います。今回、食事券やコーヒーといった返礼品があるというのは、選択肢を増やすという意味で新鮮でした。返礼品をもらえる、そのうえ社会のために役立つなら、フローレンスに寄付しない理由がないよね、という感じでした。

スタッフ:実は、返礼品についてはスタッフの間でかなり協議を重ねました。皆さんが想いをもって寄付してくださっているなかで、こちらから返礼品をお勧めすることを、寄付者さんはどのように受け止められるだろうという不安がありました。ただ、ふるさと納税を始めた目的として、より多くの方に社会課題とフローレンスの活動を知っていただき、さらに多くの方に支援を届けたいという想いがありましたので、返礼品をつけることで少しでも寄付のハードルが下がるのであれば、選択肢として入れてみようではないかと。ある意味チャレンジでした。

白井さん:返礼品に、もっとフローレンスらしいものもあると良かったですね。

スタッフ:今年に限っては、渋谷区が選定したものから選ぶ必要がありました。その中でも子どもたちや障害者に様々な機会を提供し、次世代を担う子どものための社会貢献活動に積極的に取り組む渋谷区ゆかりのお店から選定しています。次回はさらにフローレンスとして意味のあるものを選びたいと思います。

白井さん:渋谷区のふるさと納税が始まった日にふるさと納税のサイトを覗いたら、すでにたくさんの人が寄付をしていて、私以外にも、こんなにフローレンスを応援している人がいるのだと思って嬉しかったですよ。

スタッフ:フローレンスの事業は多岐に渡っていますが、白井さんご自身は今現在、フローレンスの活動のどのような点を特に応援してくださっているのでしょうか?

白井さん:事業を立ち上げて、最終的に社会を変えるところまで持っていける団体だというところです。本当に社会を変えたいのであれば、活動を横展開して他の団体さんがそれをモデルに全国にひろげていくところまでする必要があります。そこができているのが、他の団体と違うところだと思います。

フローレンスは、小規模認可保育園が国策化されたり、医療的ケア児支援法を成立させるなどの実績もありますよね。この一年間だけを振り返っても、大きな成果を上げています。それは、フローレンスの組織のなかで、社会を変えるためのプロセスが確立されていて、行政や国会に働きかける仕組みができあがっているからなのだと思います。課題を見つけ、制度化し、それを全国に広げる。そうしてきた実績があります。フローレンスを支援すれば、最終的に社会の課題の解決につながることが証明されている、そう思っています。それが、フローレンスの魅力だと思います。

スタッフ:モデル事業を立ち上げて、制度化し、全国に広げているところを評価してくださっているのですね。今も、保育につながっていない未就園児のご家庭の孤立を防ぐために、誰でも保育園に預けられるよう、目指して活動しています。

今後について、お聞きします。白井さんは、どのような社会課題に関心があり、社会をどのように変えていきたいと考えていますか?

白井さん:貧困の連鎖ですね。支援を受けながらご飯が食べられるようになっても、貧困の連鎖は断ち切れません。願わくば、すべての子どもたち、親を含めてすべての人々が、自分の夢を実現すべく進んでいける社会になるといいと思います。

食を提供し、孤立しないよう支援したその次は、子どもたちが自分の夢を追ったり、可能性を広げたりするにはどうすればよいかを考えることが重要だと思います。例えば、中小企業の力は大きくて、世界ナンバーワンのシェアをもつ工場が蒲田にあったりすることや、子どもの時は毎日食べるものがなくて困っていたけれど、そこから一生懸命がんばって富を築いた人がいるとか、あるいは一職人としての道でもいい。

目標にたどり着いた人たちの話を聞きながら、そういう世界もあるんだね、楽しそうだな、どうやってたどり着いたのかなと考え、自分もそうなりたいと思ってアクションを起こす。そんな世界観を伝え、夢の実現を支えられる場が持てるといいですね。

スタッフ:ロールモデルとなる大人を知る、会う、話を聞くのは本当に大切なことですね。子どもたちが普段関わる大人は限られていますし、貧困家庭ほど情報を得る機会を損失しているともいわれています。子どもたちが何にでもチャレンジできる社会が作れると良いと思います。

白井さん:日本は、社会課題についてオープンに話すことが普通ではないですよね。課題を可視化することで、社会が認知して、変わっていくのかもしれません。ひとり親の貧困家庭の存在が認知されて、一般的なキーワードとして知られるようになったのは、フローレンスの成果だと思います。ただ、今は社会全体が孤立している感じがしますよね。一度災害が起きたりすると駆けつける人がたくさんいる一方で、誰かと何かしよう、協力しようという感じが薄れている気がします。世の中が殺伐としている印象を受けます。

スタッフ:寄付者さんの中にも、何かしたいという思いを寄せてくださる方が多くいます。

白井さん:社会貢献が普通のことだと広く認知されるといいですね。社会貢献というと何となく照れくさい感覚があります。でも、社会貢献をすることがもっと普通になって、例えば、今週末は時間があるからボランティアに行ってこようか、じゃあ、私は来週空いているから行こう、そんなことが気軽に言える社会になるといいです。

ふるさと納税は、社会貢献を始めることのハードルを下げてくれるよいきっかけになると思います。泳げない人が水泳をちゃんと習いに行こうと思っても、始めるまでは未知の世界です。だから、最初は足を水につけるだけでもいい。社会貢献にしても、ハードルの低い場を設定して、背中を押すのは大事なことですよね。

スタッフ:寄付といった社会貢献が当たり前の文化になり、困りごとを抱えている人を支え合える社会となるよう、これからも活動していきたいと思います。今日は貴重なお話をありがとうございました。


インタビューを終えて

白井さんの「毎日笑顔で接するだけでも人にエネルギーを与えることができる」という言葉が、お人柄を表していてとても印象的でした。誰かのために大きなことをしなくても、自分のできる範囲で誰かの人生にプラスになれたら、とても幸せなことなのかもしれません。


フローレンスは、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指し、子どもの貧困、子どもの虐待、親子の孤立などの社会課題解決に取り組む団体です。

フローレンスの活動は皆さんのご寄付によって支えられています。引き続きフローレンスの応援をよろしくお願いします。




フローレンスでは、社会問題や働き方など、これからもさまざまなコンテンツを発信していきます。
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