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インタビュー

2023/10/13

支えられたから支えたい。「寄付によるひとり親支援プラン」元利用者の病児保育スタッフが届けたい保育とは

   


フローレンスは2004年、日本初の「訪問型・共済型病児保育」を創業し、これまでに業界最多となる累計10万件以上のお預かりを実施しています。2008年には「寄付によるひとり親支援プラン」をスタートし、病児保育を通してひとり親家庭が安心して働ける環境を提供し、就労、そして家計の安定を支援しています。

今回は、かつて病児保育の「寄付によるひとり親支援プラン」を利用しながらお子さんを育て、現在は病児保育スタッフである「おやこレスキュー隊員」として活躍している松島さんに話を聞きました。


Q.松島さんは、以前に「寄付によるひとり親支援プラン」を利用していて、その後おやこレスキュー隊員になっていますね。まずは、プランを利用されていた当時のことを教えていただけますか?

松島:2011年4月にひとり親になったのですが、実は当時のことはあまり覚えていないんです。とにかく、無我夢中で。東日本大震災のとき、私は東京にいたのですが、仙台の実家で一人暮らしの母は被災していたので頼れませんでしたし、私は専業主婦だったので、まずは仕事を探さなきゃ、子どもを保育園に入れなきゃ、住む場所を探さなきゃ、という感じでした。

10年ぶりに仕事をすることも、重圧になって不安がありました。ひとりで子ども2人を育てていけるのか、母がどうなるのか、仙台がどうなるのか。不安を抱えきれずに病院に通ったりもしました。区の支援でヘルパーさんに家事支援をしてもらわないといけないくらい、しんどい時期もありました。

その頃にフローレンスを知って、そこから2年間利用しました。

Q. 利用したことで、何か変わりましたか?

松島:1番困っていて気持ちが弱っているときには、周囲に相談することも難しいんです。相談に行きたくても時間がないし、そもそも相談したいことを頭でまとめられなくて。仕事と育児を両立するために風邪も引けないので、日々緊張感もあって苦しかったです。

でも、フローレンスの病児保育があれば仕事に穴を開けずに済む、そう思えたことが大きな安心につながりました。仕事を始めたばかりで、職場の信用を勝ち得るためにも休みたくない時期だったので、実際に利用した回数は少なかったんですけど、常に支えられている、守られている気持ちでいました。実家や身内に頼れない人、本当に孤立している人にとって、低価格で利用できる病児保育はとてもありがたい支援だと思います。

Q. 頼れる場所ができたことで、体調を崩せないというプレッシャーが軽減されたんですね。そこからフローレンスに入社するまでを教えてください。

松島:ひとり親になってから、少しでも良い条件、環境で働けるところを探して何度か転職してきました。子どもと関わる仕事が出来たらいいなという気持ちで、その間に保育士の資格もとりました。直近の2年間は保育園の事務用務をしていて、小さな子どもたちを観察しているうちに保育士としてやっていける自信がついて、フローレンスに応募したんです。

Q. 保育をするにあたって、不安はありましたか?

松島:自分の子どもがもう高校生になっていて、久しく小さい子に触れる機会がないまま病児保育スタッフになったので、不安はありました。それでも、研修が充実しているし、フローレンスが運営する「おうち保育園」でも1ヶ月の実習があったので、自信がつきました。座学も実技研修もしっかりしているんです。今も事務局には毎日電話をして話をしますし、モヤモヤすることがあれば病児保育スタッフたちのリーダーである組長さんに話を聞いてもらえる体制になっています。1対1の保育なのでハードさはあるけれど、入職前とのギャップはないですね。やりがいと楽しさがあって、その上でハードさがあります。

Q. 入社して1年が経ちますが、印象に残っている出来事はありますか?

松島:ひとり親のご家庭を訪問したときのことです。お母さんはとても一生懸命にお子さん2人と向き合っているんですが、上のお子さんに振り回されている様子がとにかく大変そうで。自分の姿と重なって苦しくなったことがあります。それでも、お伺いするたびにお子さんが少しずつ成長しているのがみられて、お母さんの体調の変化とか調子とかを見ながら、力になれるように保育しています。

どのご家庭も本当に一生懸命なんですよね。それが伝わってくるので、一緒に頑張ろうと思えますし、私たちが行くことで、少しでも緊張を和らげることができればいいなと思います。文字通り背中を預けて任せてもらえればと思いながら保育しています。

Q. おやこレスキュー隊員のやりがいは、どんなときに感じますか?

松島:親御さんが仕事から帰宅して、お子さんの顔を見てほっとした表情をされたときですね。力になれて良かったなと思いますし、自分もお子さんと無事に過ごせてほっとします。子どもに「また来てね」と言われると、それは病気になるということだから、本当は良くないことなんですけど、でも嬉しいですよね。

Q. これからどんな保育をしていきたいですか?

松島:ひとり親は特に、日々緊張のなかで子育てしているので、子どもが病気になってもフローレンスの病児保育があるから大丈夫!と気持ちを切り替えて仕事に集中できるのは、本当に大事なことです。それを可能にしているのは、フローレンスが日々安心安全な保育を運営しているからこそです。これからも、そう思ってもらえるような保育を届けたいし、団体もそうあり続けてほしいですね。

Q. 病児保育で子どもを看ながら、実は親御さんにも寄り添っているんですね。

松島:本当にそうだと思います。病児保育は親御さんのケアだと思っています。だからこそ、親御さんへの支援がもっとできるといいなと思います。

私自身、子どもが小さかった時に、2回盲腸になったんですけど、家を空けられないので手術はできませんでした。いつ虫垂が破裂するかもしれない不安を抱えながら、薬を飲んでいた時期があります。親が体調不良のときこそ、必要なサポートでもあると思っています。

Q. ひとり親で近くに頼れる人がいないからこその辛さがあるのですね。

松島:そうですね、うっかり自分の子どもを危ない目に遭わせてしまったりとか、とても落ち込むようなことがあったときに、身近に吐露できる相手がいないのが本当に辛いですね。そんなとき、とくに孤独を感じていました。あとでママ友に笑い話で打ち明けられるようになることだったとしても、なにかあったその時にひとりで抱えなければならないのは、精神的に辛かったなと今でも思います。

Q. 物理的な支えとともに、精神的な支えも必要ということですね。

松島:私自身、近隣の人やママ友、パパ友にたくさん支えられてきました。子どもを病院に連れて行ってもらったこともあります。行政の制度にも、体調面や精神面で支えてもらいました。今ようやく、誰かに支えられる側から、ひとりで立てるようになって、誰かの支えになれたらと思えるところまで持ち直すことができました。

子どもたちも素直なまま大きくなってくれて、今は塾の先生のアルバイトや学校での勉強を頑張っています。自分の子どもたちもこうして、支えてもらった恩を地域に還元していくのかなと思って見守っています。

みんなで子育てを支えあえる社会になるよう、これからも保育を頑張っていきたいと思います。

(インタビューここまで)

※写真はすべてイメージです


今回は、フローレンスの病児保育「寄付によるひとり親支援プラン」の元利用者で、おやこレスキュー隊員として活躍するスタッフのインタビューをお届けしました。

フローレンスは2023年3月末までに、のべ1,583人のひとり親家庭のお子さんに病児保育を届けてきました。松島さんのように辛さや苦悩を抱えながら、ひとりで一生懸命に子育てに向き合っているご家庭を病児保育で支える活動は、寄付で支えられています。

2022年9月には「寄付によるひとり親支援プラン」「寄付によるひとり親・発達支援プラン」の利用期間を2年から3年に延長し、入会時の年収上限も500万円へ引き上げることで、より多くのひとり親家庭に支援を提供できるようになりました。

利用者さんからは、「ひとり親になって1年が過ぎて、大変さが身にしみているところです。年収も少ないうえに子どもがまだ小さいので熱を出すことも多くあり、くじけそうなときにこちらのプランを利用させていただき大変助かっています。今回延長できることがとてもありがたく、安心できます。」といった声も寄せられています。

利用枠を拡大して病児保育をより長い期間で提供できるようになり、より多くのひとり親家庭に笑顔と安心を届けられるようになったのも、寄付という皆さんからの応援があったからこそです。

1人でも多くの親御さんが安心して仕事に打ち込めて、安定した生活が送れるように、これからもフローレンスの応援をよろしくお願いします。

「フローレンスの病児保育」では、保育スタッフとして2023年12~1月入社の方を積極採用しています。
保育経験のある方はもちろん、ご自身の子育て経験7年以上でもご応募可能です。1家庭でも多くの親子に病児保育を届けるため、力をお貸しください!

病児保育の採用についてはこちら




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