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2016/11/01

【社会起業のレシピ】vol.16「テストをしよう(ウェブ編)」

  


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「たたき台」をつくって、チェックしてもらう

最近は、多くのNPOやソーシャルビジネスでウェブサイトを活用している。

ウェブサイトはうまく使いこなせれば、低コストにもかかわらず、非常に効果的な広告媒体となる。とりわけ、NPOやソーシャルビジネスの場合、少ない資金で始めるケースが多く、スタートアップ時に広告費を捻出できない場合が少なくない。そのため、ウェブサイトが広告媒体として非常に重要になるのだ。

そこで、自分たちのウェブサイトについても「外さない」ものにするために、事業本体と同じく、事前にテストを繰り返すことを勧めたい。

テストでは、ウェブサイトの「たたき台」を準備し、自分たちのウェブサイトに訪れてほしい人たちにそれを見せて、意見を聞く……ということを繰り返すことになる。

この際、たたき台は重要だ。なぜなら、具体的なモノがないまま、言葉だけで説明をしても、意味がない。とはいっても、実際にウェブサイトをつくる必要はない。まずはパワーポイントでそれっぽいものをつくってみたり、場合によっては、紙に手描きで書いたりしてもいいだろう。

「利用者の側」という視点をつねに持つ

「たたき台」を見てもらうのは、「自分たちのウェブサイトに訪れてほしい人たち」と言ったが、具体的には、利用見込み者や、スタッフとして応募してくれそうな人、寄付してくれそうな人……など、自分たちのほしいリソースを想定する。知り合いから紹介してもらうなどして、見てほしい人を集めていこう。

そして、ウェブサイトの使い方を説明しながら、彼らから具体的に「まずどのボタンをクリックするか」「その後どこに飛びたいか」などの意見をもらっていく。こうしたヒアリングをすることで、ウェブサイトを利用してくれる人たちが、どういった情報をどういう流れでほしがっているのかしだいにわかってくる。それをサイトに反映していくことで、利用者の側に立ったウェブサイトをつくっていける。

実は、この「利用者の側に立った」というのが、「外さないウェブサイト」をつくる際の肝になる。そういったサイトであれば、利用者はリピーターとなって、繰り返し訪れてくれるからだ。ウェブサイトをつくる際には、こうした発想をつねに意識する。また、たたき台のチェックには、人を集めて見てもらうほかに、「ABテスト」を活用する方法もある(このテストについては、前回も簡単に触れたが……)。

これは、複数のデザインを用意して、それをウェブ上に置き、不特定多数の人に使ってもらい、どのデザインがもっとも購入を促しやすいかなどを検証していく方法である。

たとえば、「グーグル・アナリティクス」にある「ABテストツール」を使えば、簡単にこうしたテストができる。
ただし、このテスト方法は、ウェブサイトをつくっておく必要がある。なので、人に直接ヒアリングして、ある程度、ウェブサイトのつくりが固まってきたころに活用するといいだろう。

営業ツールとして、ウェブサイトを活用する場合

最近は、事業そのものがウェブサイトの活用が前提となっているNPOやソーシャルビジネスもある。たとえば、寄付系のビジネスでは、昨今、寄付を募る媒体として、ウェブサイトを使うのが一般的になっている。

モノを販売する系のビジネスも、リアルのほかに、インターネットを活用しているところは少なくない。ウェブ上でのカウンセリングやコンサルティングを行っていたり、ウェブ上で学びの場をつくる「Eラーニング」を行っていたり……といったソーシャルビジネスもある。

こうしたビジネスモデルでは、ウェブサイトが重要な営業ツールとなるのは当然。たとえば、ウェブサイトで寄付を募る場合、寄付してくれる人に負担をかけないことが重要となる。「寄付する」の申し込みボタンにいたるまでに何ステップもあるようでは、利用者の側は途中で「めんどうくさい」となってしまいかねない。こうなってしまっては、営業ツールとしては落第点だ。すでに話したように「利用者の側に立った」サイトになるよう、テストを重ね、利用者の声を集めていくことが肝心になる。ここで我々の経験を紹介しよう。

我々は現在、風邪や熱のある子を預かる「病児保育」の担い手を育てるべく、「認定病児保育スペシャリスト」という資格の取れる養成講座をEラーニングで実施している。実施主体として、財団法人日本病児保育協会という財団をつくった。

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テスト用に作った「認定病児保育スペシャリスト」のweb講座

この資格事業の実施にあたっては、事前にウェブサイトのテストを繰り返した。その際に使った手法がモニター。モニターの人に、サイトのたたき台とつくりかけのEラーニングシステムを使って講座を疑似受講してもらい、使い勝手や内容など、さまざまな意見を聞いていった。

モニターの人たちから「申し込みまでの導線がよく分からない」「動画のこの部分は冗長で見る気がしない」など、事細かな意見や指摘が数多く寄せられた。実は、こうしたちょっとしたことが、本番への備えとして大いに役に立つのだ。というのも、実際にウェブサイトをつくりこんでしまうと、ちょっとしたことでも手直しが非常に大変になるからだ。テストすることで、本番前に重要な改良が数多くできて、本当によかったと感じている。

ウェブをなめない

ウェブサイトは、いまやビジネスをするうえで非常に重要なツールだが、NPOやソーシャルビジネスの世界では、しっかりとつくりこまれているものは意外と少ない。ウェブに詳しい人材があまりいないこともあるだろうが、ウェブの威力を過小評価しているNPO/ソーシャルビジネス経営者が多いこともあるだろう。繰り返しになるが、広告資金が潤沢なNPOなど皆無だし、そんな金があるのであれば、実際の人助けをする現場を拡充することに金を使った方が良い。

ウェブは最小の資本で雇える営業マンだ。この部分を「詳しくない」で済ましてしまってはダメなのだ。

参考図書:「ユーザー中心ウェブサイト戦略」武井由起子・・・上記に簡単に書いたノウハウを、微に入り細に入り伝えてくれている良書。ウェブをつくる前に読んでおいて全く損はない一冊。


>>【vol.17「本格的な準備をしよう(資金編)」】に続く

「社会を変えたい」と願うすべての人、必読の「社会起業のレシピ」がフローレンスのサイトで読めます!

YOMIURI ONLINEにて2012年11月から2015年6月にかけて連載された、「社会起業のレシピ」を、フローレンスのコーポレートサイト(本サイト)にて毎週1本ずつ公開していきます。(※「草の根ロビイング」を除く)

貧困や格差、高齢化など、私たちを取り囲む社会課題は尽きません。そうした課題を解決するための手段の1つとして注目されているのが「ソーシャルビジネス」です。

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※絶賛発売中の社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門はこの「社会起業のレシピ」に大幅加筆・修正を加えたものです。



書いた人:駒崎 弘樹


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