2023/11/29
育休取得経験者の意外な本音とは?マネーフォワード主催「男性育休」セミナーに登壇!
企業担当者の熱い「フローレンス推し」から実現した男性育休セミナー
政府が掲げた男性育休取得率の目標は、「2025年に30%、2030年までに85%」。この目標のもと、2022年10月に、取得者にとってより柔軟な制度として「産後パパ育休」が新設されました。23年7月に発表された厚生労働省の調査によれば、22年度の取得率は17.13%。大企業では取得率が大幅に前進しつつあるものの、まだ男性育休が「すべての人にとってあたりまえ」とは言い切れません。
フローレンスでは長い間、男性育休の政策提言、男性の家庭進出を促す文化発信を続けてきましたが、「すべての人にとってあたりまえ」になる日を目指して、発信や活動を続けています。そんな矢先、1通のメールをいただきました。
「フローレンスさんの男性育休座談会の連載、すべて読みました!ぜひ一緒にセミナーを開きませんか?」
差し出し人は、バックオフィス向けSaaS「マネーフォワード クラウド」で知られる株式会社マネーフォワ―ドの星麻衣子さんでした。星さんは、フローレンスのオウンドメディアで連載していた記事を読み、さらに取材記事にまで目を通してくださり、登壇パートナーにご指名くださったのです。
「私は現在、HRソリューション本部マーケティング部門で人事労務向けのオンラインイベントの企画・運営を行っています。男性育休の制度改正や世論の盛り上がりを受けて、人事労務担当者の関心も集まっているなかで、オンラインイベントのテーマにできないかと検討を始めました。私自身が、小学生の二児の母であり、女性が働きやすくなる社会の実現に興味関心を持っていたこともありました。情報や調査データを集める中で、制度は整ったものの、企業の人事労務担当者にとっては、いざ社内で取得を促す際のお困りごとも多いのではないかと仮説を立てました。そこで調査を続けるなかでたどり着いたのがフローレンスさんでした。中村慎一さんがコメントされていた『月刊総務』2023年6月号は情報収集の中で出会いました。中村さんの記事の中にあった、『チームメンバーは一時的に離脱する可能性は常に存在する。そうした不測の事態に対応できるよう、企業は業務を属人化させない仕組みをつくるべき』という提言が非常に印象的でした。マネーフォワードは属人化解消にもお役立ていただけるクラウドサービスを提供しています。今後育休取得者の不安を解消していくためには、男性育休の制度構築や運用を担うバックオフィス部門から積極的に男性育休の取得を推進していくことが大切です。バックオフィス業務を属人化させない仕組みづくりをご紹介し、サービスを導入いただくことが、男性育休取得を検討している男性社員の背中を押す力になれるのではと思いました」と星さん。
さらにオウンドメディアの「男性育休座談会」の連載についても、こんなふうに評価してくださいました。「フローレンスさんの対談記事は、普段なかなか語られない『男性同士によるライフの話』が語られているという点で、とても稀な特集だと思いました。先輩取得者たちの経験は女性側よりも圧倒的に情報量がなく、これから取得を考える人の参考になるのではないかと思い、できることなら育休経験者だけで対談の時間を持ちたい、と考えました」
男性育休を考えることは、社会を、未来を、考えること
星さんの思いと着想はフローレンスだけでなく、マネーフォワードさんの社内や関係企業にも伝播。10月11日に「男性育休のリアルに迫る!人生を豊かにする男性育休の力とは」と題したオンラインセミナーが実現しました。
セミナーは、前半がフローレンス・中村慎一による講演「男性育休が家族の未来を変える」。後半は男性育休経験者たちがそれぞれの育休ライフを語り合う対談「リアル育休経験者がホンネで語る!育休前の気持ちと復職後の両立」の二部構成で行われました。
中村は前半の講演のなかで、22年度に発表された「17.13%」という取得率よりも、「取得率の男女差にぜひ注目していただきたい」と繰り返し訴えました。
男性育休取得率が上がることはもちろん大切。しかし男性育休が社会の文化として「あたりまえ」になるには、この差を生んでいる社会構造や働き方、わたしたちに刷り込まれているジェンダーへの意識を、取得者だけではなく、社会全体でアップデートしていくことが必要です。取得者に育休を取得しやすい空気をつくるのは、周囲の理解や後押しが不可欠だからです。
男性育休というイシューは、働き方改革、ジェンダー、企業文化、日本の家族のありかたなど、さまざまな課題を内包しています。取得率の数字だけに注目していたのでは、本当の意味で「時代が変わった」とは言い切れないのです。
男性育休取得者勢ぞろい! 「毎日が同じ日でした…」という振り返りも
セミナー後半は男性育休取得経験者が勢ぞろい。マネーフォワ―ドから営業部門の八幡亘紀さん、同社と別テーマでの共催セミナーがきっかけで参加したパーソルプロセス&テクノロジーの執行役員・橋口真さん、そしてフローレンスからはオウンドメディアで男性育休について発信している中村慎一、陣内一喜が登壇しました(中村&陣内の対談記事はこちらから)。
パーソルプロセス&テクノロジーは、チームのタスク管理「Bizer team」の開発・運営をしているBizer社の親会社です。マネーフォワード同様、生産性向上をサポートするプロダクトによって、業務の属人化解消や効率化、業務改善を実現することを掲げています。立場が異なる職位の育休経験者が対談するという企画に合わせ、Bizer team関係者の中から執行役員でもあり、取得経験者でもある橋口さんがこの対談に参加することになりました。
最初の話題は育休取得前の不安から。「離脱することで、自分の評価はどうなる?と真っ先に不安になってしまった。でもこれから自分が家庭のなかで戦力になれるかどうかというトライアル感覚で飛び込みました」と振り返る八幡さんに、パーソルプロセス&テクノロジーの執行役員である橋口さんは、「チームを牽引する立場として、率先して取得しなければ!」という思いがあったと語りました。
多くの人の後押しを受けて取得した育休。しかし、橋口さんはその生活を「過酷」と振り返りました。「3週間ほぼ同じ日の繰り返し……。家事、育児、上の子と公園、家事、育児、寝る、という(笑)。その連続は仕事よりつらかった、というのが正直なところ。それが実感できて妻への感謝の思いが強まった」と橋口さん。さらに陣内は「育児にまつわるインフラが、多くの場合、男性を想定した設計になっていないことに気づいた。会社から一歩出た社会においては、自分はマイノリティだと感じた」と振り返りました。
これに対しては登壇者全員が共感。「家事育児は切れ目なく終わりがない。その繰り返しの過酷さ、マイノリティの心細さは体験してみないと分からない」と中村も答えました。しかし、「過酷さ」の経験者だからこそ、全員が「働き方」に対して考え直すきっかけをもらったと口を揃えました。
「完全に休みたい人、必要な場には出たい人、会社での立場、業務の特性など、人によって事情はさまざま。だからこそ誰もが育児をしながら無理なく長く仕事を続けていける働き方・構造をつくることが大事。マネージメントの立場から、業務の属人化を防ぐ仕組みの導入も、文化醸成と同じように大切に考えている」と橋口さん。育休を推進していくためには、チームの業務棚卸し、「マネーフォワード クラウド」や「Bizer team」などを用いた属人化解消と業務効率化という下地が必須であることを訴えました。
こうした体験談を聞き、中村は「この場にも私の周りにも育休を取って後悔した人は誰もいない。人生にはある一定の期間にしか経験できないことがある。小さな赤ちゃんの寝息と自分しかいない、あの独特な時間。そこには仕事では得られない豊かな瞬間があった。育休が明けてからも、育児は長く続いていく。多様な希望やスタイルを持っている社員を包摂していくのが、男性育休というムーブメントの本質」と締めくくりました。
参加者の満足度は100%!「うちの社内でも広げたい」という声も
当日は企業で人事労務部門に所属する多くのご担当者が参加してくださいました。事後アンケートでは「大変満足している」と「満足している」との回答を合わせ、満足度100%の評価をいただくことができました。
フリーコメントでは、「『男性育休の取得は価値観の表明でもあり、発信にもなる』という言葉に同感した。ぜひ上司に伝えたい」、「当事者だけでなく、周囲も自分ごととしてとらえることが重要と学んだ」など、共感の感想が多く寄せられました。また、人事労務担当者ということもあり、「人員不足などの言い訳をして先延ばしにしていたが、属人化業務の可視化は男性育児休業取得者を増やすだけでなく、会社を持続させるためにも必要であると認識できた」と、課題を明確に書いてくださる方もいらっしゃいました。
セミナーを終え、こうしたアンケートの声を受けて、企画者としてたくさんの学びがあったと語る星さん。「これから男性育休を取得される方や取得された方をはじめ、多くの方に共感いただけたことが満足度100%という結果に現れたのではないかと思っています。経験者のリアルなお話が良かったという感想を多くいただきました。育休にまつわる男性の生の声はまだまだ少なく、貴重な機会と捉えていただけたようです。ぜひ育休を取得された男性の方々には、ご自身のリアルな経験談を同じ組織、友人・知人等に発信していただけることが、男性取得促進の後押しに繋がるのではないかと感じました」
男性育休を企業・社会の文化として育てていくためには、経験者が率先して自分自身の経験や実感、「過酷だった」などの吐露も含めて語り広めていくこと、さらに「語る文化」がどのような場でも等しく根付いていくことが、社会全体の意識の底上げにつながっていきます。
今回のセミナーのように、たったひとつの発信から複数の組織が協働していくことで、発信のインパクトが倍増していくという図式は、まさにソーシャルアクションの原点ともいえます。これからもあたらしいあたりまえを世に送り出すために、フローレンスではぜひこうした素敵な出会いと協働のお声掛けをお待ちしております!
▼今回のセミナーはこちらから、期間限定で視聴お申し込みができます!
フローレンスでは、男性育休制度に関すること、育休取得者の経験談、企業が推進すべきことなどについてお伝えする講演、取材をお受けしております。以下のフォームよりお気軽にご相談ください!
書いた人:酒井有里
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